キューライス記

漫画家、絵本作家、イラストレーター、ときどきアニメーション作家のキューライス(坂元友介)のブログです。

2016/09

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スキヤキが好きです。よく話題に上がる「死ぬ前に食べたいメニューは?」という問いにも勢い良く「スキヤキ!」と答えるほどに。   ... MORE

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スキヤキが好きです。よく話題に上がる「死ぬ前に食べたいメニューは?」という問いにも勢い良く「スキヤキ!」と答えるほどに。

 

旅行最終日。 朝7時に起きるとワシワシと部屋を片付ける。ウサギは持参したコロコロで自分の抜け毛を掃除している、こういうところはとてもマメな奴なのだ。 ホテルのささやかなテーブルの上にはこの数日間の私の行動教則となってくれた「遊びつくす!広島・宮島の旅!」的 ... MORE

旅行最終日。

朝7時に起きるとワシワシと部屋を片付ける。ウサギは持参したコロコロで自分の抜け毛を掃除している、こういうところはとてもマメな奴なのだ。

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ホテルのささやかなテーブルの上にはこの数日間の私の行動教則となってくれた「遊びつくす!広島・宮島の旅!」的なガイド本がくたびれた様子で横たわっている。「どうじゃあ…広島は…え、ええじゃろ…」と言っているように見える。

短い間だったけど、ありがとうガイド本、もう開くことはないだろうけど。

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ホテルをチェックアウトすると、来た時と同じように路面電車に揺られて広島駅へ。

10時13分発の新幹線に乗る前に、車内で開催する「遅めのちょっとゼイタクな朝食~SAYONARA広島~」用の弁当を物色する。

せっかくだから広島の名物っぽいものをと「穴子弁当」を購入。1300円。そんなお高級お弁当を小脇に抱えながら新幹線に乗り込み、広島をあとにする。

尻が落ち着くとさっそく「遅めのちょっとゼイタクな朝食~SAYONARA広島~」を開催し、弁当を食する。美味い。美味いけどこれが1300円かと思うと私の胸に酸っぱい感情が込み上げてくる。

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私はどこかで穴子に鰻のような脂っぽさを求めていたのかもしれない。それは穴子に対してとっても迷惑なことなのに…。

眼前に広がる穴子弁当は一面穴子と飯であり、それは私にとってあまりに穴子穴子した穴子弁当だった。前を見ても振り返っても、そこにあるのは歴然とした穴子なのであって、鶏そぼろではないのだ。

そっと添えられた二枚の奈良漬がオアシスのように感じた。

 

そんなこともあり隣の席で「牛すきやき弁当」を美味そうに食べているウサギが憎らしく見えてくる。弁当を買う時にウサギが「僕は名物だろうが名物じゃなかろうが、そのときに自分の食べたいと思った弁当を買い、そして、食べるのだ」と言っていたのを思い出し、「ああ、その通りだなぁ…」と痛感した。

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こうして旅行嫌いの私の4泊5日の広島旅行が幕を閉じた訳だが、たまには散財しての長期の旅行もいいものだと思った反面、「旅は3泊が限界だな…」とも感じた。結局4日目は殆ど作画作業をしていたのだから…。

これが原節子との二人旅だったならばまだ間がもったかもしれないが、しかし私が心を許せる友達はウサギしかいないのだから多くは求まい、穴子に鰻の脂っぽさ求めてはいけないように…。

そんなことを逡巡しながら私は帰宅用に購入しておいた「コンビニ人間」を紐解くのだった。

そして、こんなことを思うのだった「この本…さっき食べた穴子弁当と同じ値段か…」

 

おしまい

 

 

コンビニ人間

コンビニ人間

 

 

 

 

この日は朝から平和記念公園を訪れ、祈りを捧げた。 そのあと、広島平和記念資料館も訪ねた。数々の遺品の無言の訴えに戦慄する。 どんな理由があろうともあの行為は正当化してはならないと感じた。 ハリウッド映画なんかでよく登場人物が「ヒロシマの◯倍の威力だ」と軽々 ... MORE

この日は朝から平和記念公園を訪れ、祈りを捧げた。

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そのあと、広島平和記念資料館も訪ねた。数々の遺品の無言の訴えに戦慄する。

どんな理由があろうともあの行為は正当化してはならないと感じた。

ハリウッド映画なんかでよく登場人物が「ヒロシマの◯倍の威力だ」と軽々しく言うけど、そのときに心に浮かぶ苛立ちの正体が分かったような気がした。

 

資料館を出たところで時刻は10時、正直、広島で行きたいところはすべからく行ったし、外は相変わらず長居を拒むような暑さ発揮している。

「ちょっと…、行ってくるから」とウサギはどこで知り合ったのか外来種のメスのウサギと広島の繁華街に消えていった。なんてナンパなウサギなんだ。

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私はドトールで遅めの朝食を摂り(私はスタバよりタリーズよりなによりドトール派だ)、しばらく市街をブラブラしたのち、暑さに負けてさっさとホテルに戻り作画作業をしていた。

ライトテーブルを持ってきてほんとうによかったと心から思った。

なんとなくテレビをつけると甲子園、明徳義塾作新学院の準決勝が行われていた。そして、作新学院が54年ぶりの決勝進出を決めた(その後優勝もした)。

私は歓喜した、なにを隠そう私の母校は作新学院なのである。

テレビに映る作新球児たちも私と同じようにオリオン通りでクレープ食べたり、レモン牛乳をがぶ飲みしたりしているのだろうか、と思うとなんだか親近感が湧くというもの。

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「さ~くしんのかぜ~」と一人懐かしの校歌を口ずさんでいると、ウサギが帰ってきた。その様子を見るをどうやらあのメスに振られたようだ。

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ホテルで過ごす広島の夏はゆっくり過ぎていく。

私は動画作業、ウサギはブックオフで買ってきた中古の漫画に目を通している。

突然ウサギが「ジブリのキャラクターで嫁さんにするなら誰がいい」という中学の修学旅行でするような話題を持ちかけてきた。

私は手を止めずになんとなくその議題に乗った

ナウシカは怒らせたら怖そうだし、シータは子供だし、菜穂子はいいお嫁さんだけどいかんせん病弱だから…、経済的観点からも共働きが可能な崖の上のポニョ』のリサなんじゃないかな?」

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「確かに性格もいいし、家事ができて運転できて、職も、持ち家もあるけど、子連れだぞ」とウサギ。

「そうか…子連れだとちょっと迷うかな」私は少し悩んでしまった。

ウサギは「僕なら断然、『紅の豚』のマダム・ジーナだな。未亡人だし、ホテルの経営者だし」と鼻息を荒げてまくし立てていた。

 そんな実のない議論を交わす内に日はとっぷりと暮れていったのだった、その後「ほんとうにあった怖い話2016夏のスペシャル」(ひどい出来だった)を見ながら酒を呑み、早々眠りについた。

 

ところで帰宅したあと、最後の1日をほとんどホテルで過ごしていたと仕事関係のプロデューサーに話したら「地方に行ったら風俗とか行くだろ普通!」と信じられない様な顔して言われた。わからない、本当にそれが普通なのだろうか…。

 

 

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その後、私たちは「大和ミュージアム」目の前にある「てつのくじら館」に入った。 なんと入場無料である。中には海上自衛隊の掃海の歴史や、潜水艦の資料などが展示されていて、特に実際に就航していた潜水艦「あきしお」に乗船できるのが楽しい。 「実際の潜水艦なのでスイ ... MORE

その後、私たちは「大和ミュージアム」目の前にある「てつのくじら館」に入った。

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なんと入場無料である。中には海上自衛隊の掃海の歴史や、潜水艦の資料などが展示されていて、特に実際に就航していた潜水艦「あきしお」に乗船できるのが楽しい。

「実際の潜水艦なのでスイッチなどに触れないでください」という注意書きでテンションが上がる。

例えば、巨大海中生物にすべての船、潜水艦を撃破され、なす術がなくなった時に主人公が

いや、もう一隻ある

「あんた…まさか!」

「そうだ!てつのくじら館のゆうしお型潜水艦「あきしお」だ!」

なんて展開になったらなんて素敵なんだろう。

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ところでウサギはずっと「ソナーマン体験コーナー」で深海の音当てクイズをやっていた。ヘッドフォンに流れる深海の音を聞いてそれが「ホウボウ」のものか「大型コンテナ船」のものかなどを二択で当てるのだが、これが意外に難しい。

この時、ウサギの耳に関して重大な疑問が沸き起こったが、敢えて触れなかった。

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その後、私たちは呉線に乗って広島へ戻る途中、坂駅で下車した。

事前にインターネットで調べはついている、この駅前にスーパー銭湯「アジアンリゾートスパ シーレ」があるのだ。

広々とした店内は都内のスーパー銭湯ラクーア」を思わせ期待大。

洞窟のようになった天然温泉(なぜか仁王像が置いてある)や二種類のサウナ、露天水風呂などが楽しい。備長炭の滝を有した水風呂は深さと冷たさが担保されてなかなか良い。

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私はいつものようにサウナと水風呂を行ったり来たりして楽しんでいた。

何度目かの水風呂に浸かりながらぼーっとしていると突然、スタッフのおじさんから「~の氷です!よかったらどうぞ」と紙コップに入った氷を手渡された。

いろんな銭湯に入ってきたが、こんなサービスは初めてだった。それにスタッフの人の頭のほうの台詞が備長炭の滝の音にかき消されて、うまく聞き取れず、渡された氷の正体がよくわからない。

これは食べていいものなのだろうか…、それとも水風呂に突っ込んで「さらにクール」にするものなのだろうか。

他の客の様子を伺うと、どうやら皆、思い思いに氷を口に運んでいる。やはり食用氷かと合点し、私も恐る恐る口に運ぶ、無味無臭の普通の氷だった…。そして、コップの底のほうにはなにやら酸っぱい液が入っていた…。

あのサービスはいったいなんだったのか…。

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それにしてもこの銭湯、メンテナンス不足だろうかいたるところに汚れや故障が目立ち、日光を上手く室内に取り入れていないため開放感も出せていない、せっかくの天然温泉がこれではもったいない。結局私とウサギはたったの一時間程度でこの施設を後にした。

16時にはホテルに到着し、御幸橋までジョギングし、手を合わせ、もう一度風呂に入ると(ホテルで嬉しいのは水道代を気にせず何度も風呂に入れることだと思っている)、寝るまでの時間は作画作業をして過ごした。

 

三日目はかつて軍港や工廠などで栄えた呉へ行く。 10時到着。気温36度…、この日もカンカン照りで猛烈な残暑だ。外にいるだけで汗が湧き出てくる。   呉駅から脇目も振らずに「大和ミュージアム」に行く。 大東亜戦争時の軍艦や兵器、呉にまつわる歴史的な遺物の数々が展示 ... MORE

三日目はかつて軍港や工廠などで栄えた呉へ行く。

10時到着。気温36度…、この日もカンカン照りで猛烈な残暑だ。外にいるだけで汗が湧き出てくる。

 

呉駅から脇目も振らずに「大和ミュージアム」に行く。

大東亜戦争時の軍艦や兵器、呉にまつわる歴史的な遺物の数々が展示されている。昭和史マニアの私としては「山本五十六直筆の書」やら「南雲忠一の所持していた軍刀」などが見れて幸せだった。

また、特攻兵器、人間魚雷の「回天」搭乗員がレコードに遺した肉声が印象的だった。

大和ミュージアムに訪れた際は是非聞いてほしい。ボタンを押すと流れます。

戦艦大和の10分の1模型も立派なもので、巨大なバルバスバウの前に立って思わず「バルバスバウ」(船首の下の丸い部分のこと)と言ってみた。言いたくなる語感があるのだ「バルバスバウ」。

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子供が母親に「これにほんのふね~?」と尋ねていて微笑ましかった。

ウサギの姿がさっきから見えないと思ったら、土産物などを取り扱っているミュージアムショップで大量の買い物をしていた。なるほど大和やら零戦やらにまつわる様々なグッズが所狭しと並んでいて、そのバリエーションの豊かさは確かにすごい。

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しかし、土産物に関しては吝嗇家の私は「呉」と刻印された600円のスプーンをひとつ買っただけだった。(というかこの長旅を通して買った唯一のおみやげがこれだけであった。)

このスプーンでカレーを食べればバーモントだろうがジャワだろうが、カレーの王子様だろうがみんな「海軍カレー」なのだ。

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大和ミュージアム」をあとにした私は絶望的な空腹を覚える、なにしろ今朝は朝食を食べていないのだ。

飢えた狼のような形相の私の眼前に「海軍カレー」の文字が飛び込む。「大和ミュージアム」の隣の「ビーコン」という名の洒落たレストランに迷うことなく入った。

私とウサギはちょっとお値段のはる「士官の海軍カレー(大盛り)」とアイスコーヒーを注文。カレーの上に鎮座した柔らかいタンと飯に刺さった旭日旗が印象的だった。

美味しかったがカレーはやはりカレーだった。

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「これが士官用なら長官用カレーはどんなんだろうね」とウサギ「軍楽隊の演奏付きなんじゃない?」と私は返したのだった。

 

 

広島旅行記が続いているのでここで休憩コーナーです。 ... MORE

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広島旅行記が続いているのでここで休憩コーナーです。

  幸い空いていたので4人乗りのロープウェーをウサギと二人きりで乗ることができた。乗り場にはロープウェーの窓の位置に合わせて簡易クーラーが設置されていて涙が出るほど嬉しかった。そして、ロープウェー特有の不安定な揺れを醸し出しながら出発する。 眼下には豊かな ... MORE

 

幸い空いていたので4人乗りのロープウェーをウサギと二人きりで乗ることができた。乗り場にはロープウェーの窓の位置に合わせて簡易クーラーが設置されていて涙が出るほど嬉しかった。そして、ロープウェー特有の不安定な揺れを醸し出しながら出発する。

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眼下には豊かな緑、瀬戸内海の美しい風景が映し出される、しかし、ちょうどロープウェーが道のり半ばまで来たところで、自分が閉所と高所恐怖症であることを思い出し、「ああ、私はロープウェーに乗ってはいけない人間なのだ」と思い知る(そういえば観覧車も乗れない)。こうなってくると風景を楽しむ余裕なんて微塵もない。

「時間よ早く過ぎてくれ!」と心の中で叫びながら平静を装う。「ピーターパン」の「ユー・キャン・フライ」を口ずさむウサギさえ憎らしい。

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そのあと、乗り換えを経てなんとか獅子岩駅に到着。

ここからさらに山道を徒歩で30分登り山頂を目指すのだ。「もう、ここでも十分絶景だよ?」と何度も足を止めるウサギを無視して黙々と登り続けていると、ヘリの爆音が近づいてきた。

弥山山頂の展望台に到着すると、どうやら急病人が出たようで救急隊員がホバリングしたヘリから降りてきて、病人を担架に乗せるとそのままヘリで引き上げていった。

病人の方には大変失礼な話だが、ホバリングするヘリの巻き上げる砂埃というものを生まれて初めて経験できてとても感慨深かった。

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何より、危険な仕事に従事する救急隊員の方の真摯な姿が素敵だった。苦労して登った弥山の絶景も、ヘリの救助活動の印象に完全に負けてしまい、私の弥山の思い出はほぼ「ヘリ」となった(もちろん景色も素晴らしかったのだが)。

 

その後、あの苦行のようなロープウェーに再び乗り込み、弥山を下山。

時刻は13時、空腹を覚えた私とウサギは近くの食堂で昼食をとることにした。二人で広島名物カキフライ定食を食べる。

極限の疲労と空腹によって味付けされた瀬戸内海の牡蠣はサングラスが割れるほど美味かった。カレーでもないのにご飯に福神漬けが添えられていたが、それが広島流なのだろうか。

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 まだ時間があったので宮島水族館・みやじマリンを訪れる。

さっき食べたばかりの牡蠣が養殖されている様子や、スナメリが水槽を行ったり来たりする様子、ナンヨウハギを「ドリーだ!」などと歓喜しながら指差す子供たちなどを観察した。

遠い目をした飼育員のおじさんに手渡される魚を頬張るカワウソが可愛いかった。

 

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再び厳島神社前へ行くと潮が引いていて大鳥居まで歩いて行けた。

通りかかった方にお願いして珍しく自分とウサギの写真を撮ってもらった。

私はピースはしない主義。しかし、撮ってもらった写真を見てみるとこんな感じになっていて、ウサギが憤慨していた。

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どうやら通りすがりのおじさんはウサギのことをそこかしこに居る野生の鹿の類と同じものだと思われてしまったようだ。

海岸線をとぼとぼ歩くウサギは皮を剥かれた因幡の白兎のように痛々しかった。

 

 

8時に起床。 コンビニで買ったカレーパンを胃に流し込み、ホテルを出て、路面電車、JRを経て、宮島口へ。そこからフェリーに乗って一路、厳島神社を目指す。 さすが世界遺産、あたりは外国人ばかりである。   フェリーを降り立つと土産物屋が立ち並ぶ海沿いを歩き参拝に行く ... MORE

8時に起床。

コンビニで買ったカレーパンを胃に流し込み、ホテルを出て、路面電車、JRを経て、宮島口へ。そこからフェリーに乗って一路、厳島神社を目指す。

さすが世界遺産、あたりは外国人ばかりである。

 

フェリーを降り立つと土産物屋が立ち並ぶ海沿いを歩き参拝に行く。

そこかしこに野生の鹿がいる。かわいい。でも、下手に頭を撫でて逆鱗に触れてしまい、あの複雑な形の角に膵臓えぐられては事なので、後ろに回りそっとおしりの辺りを人差し指で押す。存外硬かった。

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ふと隣をみると友人のウサギがモジモジと恥ずかしそうにしている、聞いてみると「そこかしこにある鹿の糞を自分がしたと思われるのではないか」と心配なのだそうだ。確かにコロコロした形状がウサギのそれと似てなくもない。

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しばらく歩いて、厳島神社に到着。

昇殿料300円を払い中へ入る。入ってすぐのところに神主さんが振る白い紙がついた棒(大幣)が置いてあり、看板に「右、左、右に振る」とある。さっそくお賽銭を入れて振ってみる。

うまく祓えただろうか(何をだ)。時刻は10:30、潮は満潮で大鳥居は水面からのっと顔を出していた。青空と鳥居のコントラストが綺麗だ。

本殿でお祈りする。神社で私がする願い事はここ数年ずっと同じ「家族がいつまでも健康で長生きできます様に」だ。結婚もしてないし、子供もいないが、家族は何より大切なのだ。そのことをウサギに言うと、「じい様みたいな願いだな」と鼻で笑われた。

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そのあと、一通り厳島神社を巡って、外へ出た。

ウサギは「全体的に朱色だったね」とどうしようもない感想をぶつけてくる。

とはいえ、私も戦国時代以前の歴史に疎いため、あまり「ああ!これが例の◯◯ですか!あへー!」とテンションが上がることはなかった、平清盛さんには本当に申し訳ないが。おみくじも凶だったし。

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まだ、午前中だしすることもないので我々は近くの弥山という1200年以上前に弘法大師が開基した宮島の霊峰に登ることにした。パワースポットらしい、パワーは大切だ、私はパワー欲しさに宮島ロープウェー乗り場を目指し坂道を登る、しかし、この日の気温もかなり高く、はやくも全身汗まみれ。

虫さされを恐れて長ズボンを履いてきた朝の自分の判断を憎みつつ歩く。

ウサギの野郎はいつの間に買ったのかかき氷を食べながら歩いている。

知らない子供に「汗ダラダラおじさん」となんの捻りもないあだ名をつけられても言い返せないほど汗をかいたところでやっとロープウェー乗り場にたどり着いたのだった…。

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つづく

新幹線に揺られて約4時間の後、新幹線は広島駅にたどり着いた。 広島県のゆるきゃら「もみじまんじゅうのもみもみくん」(想像)に脇腹を揉まれたらどうしようなどという不安を胸に私は初めての広島の大地を踏みしめた。  ホームに降り立った私たちの胸に一つの感情が去来 ... MORE

新幹線に揺られて約4時間の後、新幹線は広島駅にたどり着いた。

広島県のゆるきゃら「もみじまんじゅうのもみもみくん」(想像)に脇腹を揉まれたらどうしようなどという不安を胸に私は初めての広島の大地を踏みしめた。

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 ホームに降り立った私たちの胸に一つの感情が去来する「あっつい…」。

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そう、台風が本州から去ったばかりのこの日は全国各地で高温注意報が発令され、広島市の温度は35度を記録していたのだ。

さっさとホテルへ向かうべく、路面電車に乗る。

路面電車…、東京暮らしの私からするとなかなか乗る機会のない代物なので、なんだか少し嬉しい。地面にめり込んだレールさえ新鮮に見えるというもの。

しかし、慣れない土地での慣れない移動が苦手な私は落ち着きなく周囲を見回したり、何度も路線図を凝視したり、運賃の160円が手汗で湿るまで握りしめたりしていた。

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そして夕刻、無事宿泊するホテル(なんの変哲もないありふれたビジネスホテルっぽいホテル)に荷物を降ろすと、「ああ、私は今すっごく遠い広島の地にいるのだ」という感慨が渦巻き、感情が高ぶった。

そして、さっさと着替えると広島の街をジョギングしに出かけた。テンションが上がった時は走るか酒を呑むかに限るのである。それに知らない街を走るのは情報量が多くてとても楽しい。

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ホテルは原爆ドームのある平和記念公園の目と鼻の先にあった。私は元安川に沿って走り、遠くから近くから、人類の負の遺産ともいわれる瓦礫を眺める。

言葉は発しないが、それが語りかける人類の業は筆舌に尽くしがたい。

私はそのまま気の向くままに広島の街を走る。原爆ドームからちょっと離れた商店街、そこはどこにある商店街とも変わらない驚くほどありふれた商店街だった。

戦争の残した遺骸のすぐそばに自分の住み慣れた日常があることに、不思議な感覚を感じる。

市内を走っていると原爆ドーム以外にも様々な原爆の爪痕を見つけることができた。教科書で見た手すりの影が焼きついたという橋、たくさんの被害を出した小学校…。当時、被災した人たちの手当てしたという赤十字病院は現在でも立派な病院で、天を突くような高さに驚いた。

 

うんと汗を流したので、ホテルに戻り、シャワーを浴びる。さっぱりしたところで「腹が減ったな」とウサギがいう、「牛めし食っといてなんだこの毛玉野郎」と言いかけたがそこは我慢して二人でホテルの近くにあった店に入り、汁なし担々麺を食べた。

ネギとひき肉というシンプルな具材ながら、なかなか辛くて美味かった。食後の水が「甘い」と感じるタイプの痺れ系の辛さで満足。

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せっかくシャワーを浴びたのにまた少し汗をかいてしまった。調べてみると汁なし担々麺も広島の名物らしい、まったく名物の権化め!とブツブツ言いながら、そのあとの時間はずっとホテルの部屋でアニメーションの作画をして過ごした(家からライトテーブルと大量の動画用紙を持って来ている)。

例えその旅が新婚旅行だろうが、たぶん私は作画作業をする。絵を描かないでじっとしているという選択肢は私にはないのだ。