「ウサギと行く東京ディズニーランド②~貪欲ウサギと憧れの開拓小屋~」
9時30分、ピザをぺろりと平らげた私たちはウェスタンランドの一角にシートを敷くと腰を下ろし、じっと待機する。
10時35分に開催される、この時期のパレード「ハロウィーン・ポップンライブ2016」(10月31日で終了)なるものを万全の位置で見るための待機である。
ウサギが気をきかせて「ビッグサンダーマウンテンのファストパスを取ってくる」と席を立った。私は持ってきた本「ビルド・アンド・スクラップ」を読んで時間を潰していた。
しばらくして帰ってきたウサギが浮かない顔をしているので尋ねてみると、「スモークターキーレッグが売ってなかった…」とさも残念そうに漏らしている。
今やランドの名物的存在のターキーが売っていないというに驚いたが、それ以上にさっきピザを食べたばかりなのにターキーをせしめようとしたウサギの食に対する貪欲さに驚かされた。
この食欲と性欲の権化め、などと心の中で悪態をついているとパレードは始まった。
ディズニーランドのパレードはキャラクターたちもさることながら様々な衣装に身を包んだダンサーたちも面白い。今年はミイラときゃりーぱみゅぱみゅの合いの子みたいなダンサーの衣装が可愛かった。
また、フロートから散布されるスモーク入りのシャボン玉も楽しい。しかし、今年の音楽はあまりハロウィンっぽさがなく、これならば昨年までの「ハッピーハロウィンハーベスト」の音楽のほうが私個人としては好きだった。
ショーを見終えた私たちはファストパスを使用し、ビッグサンダー・マウンテンに乗車することにした。廃鉱を暴走する列車「マイントレイン」に乗って猛スピードで山を駆け抜ける人気の高いアトラクション、この日も一攫千金の夢を抱いた連中がわんさかと登山していた。
「ビッグサンダー」の名前の由来は開拓者たちが掘削に使った発破の爆発音を、先住民たちが「神の怒りだ!」と勘違いしたことによるらしい。こんなバックスストーリーがあるのもディズニーランドのアトラクションの醍醐味ではなかろうか。
しかし、ここでも指先を「チュンッ」と、何かにぶつけやしないか不安な私は意地でもバンザイはしない、「ドライブ型」で優雅に楽しむ。
ところで、私がこのアトラクションで一番好きなところは道中にある開拓者のちいさな小屋、外には洗濯物も干してあって、あたかもさっきまでここに誰かいたかのような雰囲気があって素敵だ。
下車後、「いつかあんな小さな小屋に一人でひっそり暮らしたい」とウサギに漏らしたら「お前は『まあだだよ』の内田百聞先生か」と言われて。変に納得してしまった。
つづく