キック・アス」の監督マシュー・ヴォーンによるスパイ映画。

円卓の騎士風諜報機関「キングスマン」と人類滅亡を目論むエコテロリストとの戦い、また、キングスマンの一員として成長する青年をアクションとユーモアを交えて描いた映画。

 

コリン・ファースのカッコ良いところが見たくて、ただ、それだけのために映画館に赴いた私だが、結果として非常に満足できた。

礼節をわきまえたメガネ紳士がばったばったと悪人をなぎ倒す様は見ていて心地良い。中盤の殺戮シーンではこの監督特有のゴア表現に少しうんざりしたが、コリン・ファースが髪を振り乱して頑張っていると自然と応援してしまいたくなる。かつて「ブリジットジョーンズの日記」でヒュー・グラントと路上で繰り広げたへなちょこファイトを思い出した。

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また、スパイ映画で大切なのが悪の親玉で、これが魅力的かどうかでその映画の成否がわかる。今回の悪の親玉はサミュエル・L・ジャクソン演じるIT富豪で、人類滅亡を画策するくせに血を見るのがダメだったり、会食にマクドナルドを用意したりと非常にクセが強く面白い。

 

しかし、なんといってもその側近にして秘書のガゼル、これに参ってしまった。黒髪と長髪を踊ろに乱して、両足の義足レイピアで攻撃してくる危険な女性だが、太眉前髪ぱっつん美人に弱いキューライスは即座に恋に落ちてしまい、彼女が歩くときに鳴る金属音すら「かわいい」と思ってしまう始末。

 

悪の側近といえば終盤で主人を見捨てることもあるが、彼女は決して主人を見捨てず、最後まで戦う!素敵だ!可憐だ!笑顔もかわいい!

 

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きっと彼女が全力で走ったらチーターみたいに速いのだろうな…、漫画寄生獣」の後藤みたいに速いのだろうな…、と上映中に在らぬ方向へ思考がずれてしまった。

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スパイ映画の本家「007」が超リアル派になってしまい、胸がわくわくするようなスパイアイテムの活躍が拝めなくなった昨今、その心の隙間をこの映画は埋めてくれる。キングスマンが使う武器はハイテク装備が満載されたお洒落な傘に、多機能腕時計、なんといっても踵を鳴らすとナイフが飛び出すスパイ靴なのだ。(もちろん銃も普通に使うが)

 

だけど、踵を鳴らしただけで毒付きナイフが出てくるような靴は普段履けないだろう、満員電車などででふとした弾みで、ナイフが出てしまいそれに気づかず1日を過ごし、終いには見知らぬ諜報部員から「…おたく、出てますぞ」と注意されそうだ。

 

分かり易すぎるマイクロチップや、不便すぎる生体認証など突っ込みどころ満載ではあるが、テンポ良く最後まで飽きることのない映画だった。グロ表現が苦手な人にはおすすめ出来ませんが。

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