新作短編アニメーション「鴨が好き」の仕上げ作業も残す所、約600枚になった2月の13日、私は心身ともに疲れ果てていた。

その疲労度は、行きつけの鍼灸院で担当に「キューライスさん、左の肩が盛り上がってますよ」と言われるレベル。

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そう、私は癒しを必要としていた。

今年に入ってからはアニメーション制作の追い込みや仕事に追われて、ろくに映画館にすら行けていなかった。このままではいけない、自分の心になにかしらの栄養的なものを与えないと素敵なものを感じる器官が漬物のように萎びてしまうような気がする。

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そう思い立った私は友人のウサギ(オス)に電話をかけて、横浜へ足を運んだ。

そして、横浜からさらに足を伸ばして八景島へ向かった。そう、かの有名な「八景島シーパラダイス」に行こうという算段なのである。

この有名すぎる観光スポットに私は一度も足を運んだことがなかった。

水族館は好きだ。というか、海が好きなのだ。海なし県の栃木で生まれ育った私にとって海が羨望の的なのだった。

ホームページには「恋と遊びの王国」と書いてあり、一瞬不安になった。「恋」には用がないからだ。

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金沢八景駅を降りてすこし歩きシーサイドラインに乗り込む、海岸沿いを走るこの電車は眺めも良く、雲ひとつない青空の下でキラキラと輝く水平線が目に入っただけで心が解れていく。

眼下には神社だろうか、ロールプレイングゲームなら銀の鍵がかかった宝箱が置いてありそうな出島が目に入った。なんだか気になる。

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八景島駅に舞い降りると、そこはもうすでにシーパラダイス感満載、階段の壁面はカラフルな色彩で海の仲間たちが描かれていて、こちらのテンションをぐいぐい押し上げていく。

そうなってくると私たちの歩調も自ずと早歩きとなるもの、私とウサギは息を弾ませて金沢八景大橋を渡る、ふと目を移すと雪化粧した富士山がくっきりと見えた、海のみならず日本一の山までも見ることができようとは。

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時刻は11時、すわ、入園と武張ったところでウサギのやつが「腹が減った」と言いだした。考えてみれば私も朝にネイチャーメイドを2錠とビオフェルミンを飲んだきりでなにも口に入れていなかった。

丁度いいことにシーサイドオアシスなるフードコートが目の前にあった。我々はそこに飛び込むと、ロッテリアのカウンターに押しかけた。

ロッテリアエビバーガーはいつどこで食べても美味いのだ。ふと目に入った八景島BOXセットなるものを注文する。エビバーガーにフレンチフライポテトやチキンやドリンクが付いたご機嫌なセットだ(どこらへんが八景島なのかは別として)。

 

腹を満たした我々はさっそうとアクアミュージアムに入館、四つの水族館が楽しめるという「アクアリゾーツパス」(3000円)を購入した。

中に入ると「海の動物たちのショー jump jump jump」が開催されていたので、我々は急いで4Fのアクアスタジアムに向かった。

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二頭の美しいシロイルカによるショーを見ていたら、なぜか涙が出てきた。涙は出るが表情はまるで生まれたての赤ちゃんを見てるような和やかな顔なのである。31歳にしてイルカを見て泣くとは思いもしなかった。

一生懸命バブルリングを噴射するシロイルカを見ていると、「ああ、俺も頑張らないと…」といった前向きな気持ちになれた。一方、ウサギの奴は「頭突きが強そう」とどうしようもない感想を漏らしていた。

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つづく

 

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