「アイスファンタジア」の魔力で急に体温とテンションを奪われた我々はフラフラとその隣にあったマリオンクレープに立ち寄る。

f:id:q-rais:20170304230632j:plain

ここは一つクレープの優しさに慰められたいし、なによりこんな時でもないとクレープなんて口にする機会がない。

イチゴと生クリームだけの極めてシンプルなクレープを注文する、お値段は400円、奇しくもさっき入った冷蔵室と同じ値段だった。

近くのベンチに腰かけてクレープを食する。

f:id:q-rais:20170304230821j:plain

クレープ…

なんて祭日感の溢れる牧歌的な食べ物だろうか、どんな厳しい人間でもクレープを片手に持たせるだけですごく優しい人に見えてくるというものだ。

 

そして、美味い…。

 

イチゴと生クリームを超えるタッグがこの世にあるだろうか…。

私は思わず「純白の雪原にパッと咲く赤い鮮烈、クリームとイチゴの奏でるハーモニーはまるでスウィーツ界のゴールドベルグ変奏曲だ」とウサギの奴に熱く語ると、

さっきの冷蔵室に入りさえしなけりゃ、その変奏曲がもう一つ買えたのにな」と言われた。

まったくその通りだと思ったので、私は何の反論もできなかった。

 

クレープを平らげた我々は八景島シーパラダイスを後にして、再びシーサイドラインに乗り込んだ。そして、金沢八景駅まで戻ると、駅を降りて例の宝箱が置いてありそうな出島のある神社にふらりと立ち寄った。

 

瀬戸神社という名前の神社で、御祭神が大山祀神で、治承4年(1180年)に源頼朝が伊豆三島明神を勧請したのが始まりだそうだ。古びた社殿が素敵だ。

 

さっそく手水を済ませてお祈りをする、神社で私が祈ることは決まっていてそれは「家族の幸せと健康」それだけである。

ウサギの願い事は「宅配ピザが安くなりますように」だったそうだ、それは私も切にそう願う。

f:id:q-rais:20170304230959j:plain

蛇混柏(じゃびゃくしん)という延宝8年(1660年)8月に倒木しても今尚腐らず健在だという大木が境内に置かれていた、「じゃびゃくしん」、すごい名前だ。思わず口に出して「じゃびゃくしん」と言ってみる。

 

それに、なんとなくパワースポットっぽかったので、パワーを吸収したつもりになってみる、落語「だくだく」ではないが、人生、この「つもり」というのが何事も大切なのだ。

パワーもらったつもり、結婚したつもり、ハワイで挙式したつもり…、芝浦のタワーマンション買ったつもり…

f:id:q-rais:20170304231100j:plain

まんまとパワーせしめた私とウサギは京急電鉄に飛び乗ると、横浜に戻った。

 

横浜にあるというスーパー銭湯万葉倶楽部に足を運ぼうという魂胆なのである。

中華より夜景より野毛山動物園トリエンナーレよりも、私の心を高揚させるもの、それはサウナと水風呂と温泉なのである。

 

つづく