5月9日、その日私は午前2時に起床して仕事をしていた。
そして、そろそ6時を回ろうかというときになって友人のウサギ(オス)から連絡が入った。
「おい、今日はこれから冒険とイマジネーションの海へ行くぞ、8時50分にエントランスに集合な」
仕方がないので私は眠い目を擦りつつ、丸ノ内線と京葉線を経由して東京ディズニーシーのエントランスにやってきた。
5月の舞浜は薄く雲がかかり、暑くもなく寒くもない絶好の行楽日和。
すると向こうの方からウサギが日焼け止めをペタペタしながらにじり寄ってきた。
そして、ウサギが友人の◯ジャー・◯ビットからせしめたというまだオープン前だった「タートルトーク」と「ニモ&フレンズ シーライダー」のアトラクションプレビューチケットを私に突きつけこう言った。
「パラッツォカナル?(準備はいいか?)」
私は迷わず答える
「プエンテアルテンプロ(もちろんできてる)」
QRコードという名の科学の魔法陣をかざして開園と同時に颯爽と入園する私とウサギ。
目の前に雄大なアクアスフィア(地球儀)が回っている、そして、ミッキーとミニー率いる吹奏楽団が陽気なメロディを奏でている、朝の風物詩「走らないでね」の看板を掲げたキャストの笑顔も眩しい。
アメリカンウォーターフロントの方向へ歩いて行くとショーウィンドウには最近加わった新しいお友達、ダンサーを夢見るウサギのステラ・ルーのぬいぐるみが機械じかけでくるくる回っていた。
その可愛らしさに何人かのゲストは足を止め、携帯で撮影などをしている。
ふと、こっちのウサギを見るとものすごい険しい表情をしていた。同じ種族の対抗心であろうか、ショーウィンドにへばりつき変なブレスを口の脇から漏らしている。
それにしても町並みといい、お店のインテリアといい20世紀初頭の雰囲気がたまらない。
時代設定は1912年だそうだ。タイタニック号が海に沈み、ジョセフィーヌ・ベーカーが歌い踊っていた時代…、そう思い巡らすだけでなぜか脳内に「映像の世紀」のテーマソングが流れてくるというもの。
我々はとりあえず「タワー・オブ・テラー」のファストパスを取ると、サンドイッチなどの軽食メニューが楽しめる「ニューヨーク・デリ」に足を運んだ。
午前1時から水以外なにも口にしていない私の胃袋は取り付け騒動を起こしている。
注文は「ニュヨーク・デリのおすすめセット」、チキンとアボカドシュリンプのサンド、ポテトの冷製クリームスープ、ソフトドリンクのセットメニュー(1150円)。
それもステラ・ルーをモチーフにしたメニューだと知るやウサギの口から「ぐぅの音」が出た。ほんとうに出るものなのかと感心した。
紫色のバンズにはアボカド、マヨネーズシュリンプ、ポテトサラダ、照り焼きチキンが挟んであって結構ボリュームがある、頬張ると口の端にいろんなものが付着するので拭く物が必須となる。
また、ポテトの冷製スープはラズベリーソースがかかっており、見た目は完全にスイーツ、しかし、口に運ぶとちゃんとじゃがいもでヴィシソワーズなので、そのギャップがたまらない。
美味い。そして、眠い。
つづく
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